メタボの予防・改善

いまや知らない人はいないほど有名になった「メタボリックシンドローム」という言 葉。「メタボリック」は「代謝」の意味で、代謝に異常が起きていることを示します。

忙しい現代人は生活習慣が不規則になることが多く、身の回りには「メタボ」を引き 起こす要因があふれています。

厚生労働省の全国調査では、40~74才の男性の2人に1人、女性の5人に1人が「メ タボ」とその予備軍だったことも分かっています。平成20年4月からは、厚生労働省に よりメタボ健診も義務化されました。

放っておくと、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの恐ろしい病気を引き起こす原因とも なる「メタボ」。しかし、食事や運動など、普段のちょっとした心がけで「メタボ」は 予防・改善することができるのです。

男性の25%、女性の10%が該当のメタボリックシンドロームはどんな病気?

健康診断で血圧が高いことがわかると「高血圧症」と 診断され、指導を受けたり、降圧剤を処方されます。血 糖値が基準値より高いときは「糖尿病ですね」と血糖値 を下げるよう指導されます。でも、それぞれの値が「やや 高め」程度で基準値を超えていないときは、経過観察な どといわれ放置されることも少なくありませんでした。

ところが最近、血圧や血糖値、血中脂質の値は、根っ こに同じ原因があって上昇するのではないか、と考えら れるようになってきました。その原因として注目されて いるのが、内臓脂肪です。

内臓脂肪が体内に多くたまっていると、やがて血圧や 血糖値、中性脂肪の値はほぼ確実に上昇します。しかも 軽度の異常であっても、複数重なることによって心筋梗 塞などの心血管疾患のリスクが上昇しますし、将来的に 糖尿病や高血圧、高脂血症になることも少なくありませ ん。だから、内臓脂肪を減らして多くの生活習慣病や心 血管疾患を予防しましょうというのが、メタボリックシ ンドローム対策の基本的な考え方なのです。

では内臓脂肪がたまっていることは、どうすればわか るのでしょうか。その量を正確に知るためにはCTスキ ャンなどで測定する必要がありますが、目安を簡単に知 る方法があります。ウェスト(腹囲)のサイズです。内臓 脂肪がたまるとウェストが太くなる傾向があり、まずウ ェストのサイズをチェックするのはそのためなのです。

では、ウェストが男性85cm、女性90cmを超えたらメタ ボリックシンドロー‘ムかというと、そうではありません。
皮下脂肪が多くついているタイプの肥満は、ウェストサイズが大 きくなっても比較的病気の原因になりにくいのですが、 皮下脂肪はそれほど多くありませんが、体の内側、内臓の周りに散らばるように脂肪がた まっています。これを内臓脂肪型肥満と呼びます。一見それほ ど太って見えないため「隠れ肥満」と呼ばれることもあります。

メタボリックシンドロームのメタボリックは「代謝の」と いう意味です。代謝というのは体外からとり入れた物質から 他の物質を合成したり、エネルギーを得たりすることですが、 食べすぎなどがつづくと、とりすぎた分か内臓脂肪となって たまり始めます。

そして、ただたまっていくだけでなく、内臓脂肪はさまざ まな物質を分泌して血圧や血糖値、中性脂肪値を上げてしま うのです。

先にもお話ししたように、これまでは血圧や血糖値などが 基準値よりも高くなって初めてその病気の治療を開始してい ました。

しかし、たとえ薬で血圧を下げたとしても、根本にある内 臓脂肪を減らさなければ、今度は別の数値が悪化し、たとえ ば糖尿病がそのまま悪化することにもなりかねません。

そこで、内臓脂肪がたまった状態(ウエストが基準値以上)で、血圧と血糖値、中性脂 肪の数値がある程度上がり始めてきた状態をメタボリックシンドロームと呼ぶことにしま した。

そして、この基準に40~74才の日本人の男性の25%、女性で10%があてはまることが厚 生労働省の調査でわかったのです。
高血圧、高血糖、高脂血症の状態を放置していると、やがて全身の血管がダメージを受 けます。

高血圧がつづけば、高い圧力がかかりつづけていた動脈がしなやかさを失い、破れて出 血を起こしやすくなります。これが脳で起これば脳出血です。

また、コレステロールの高い状態がっづいた血管の内側はドロドロになって狭くなり (粥状硬化)、もし心臓に向かう血液が詰まれば心筋梗塞など、ひとたび起これば突然死や 寝たきりなどを招きかねない、深刻な病気を発症させます。
血糖値が高い状態でも血管を傷めます。目で血管が破れて出血すれば失明の原因にもな りますし、腎臓障害を起こし、人工透析が必要になることもあります。

メタボリックシンドロームを放置しておくと、こうした命にかかわる病気が40代や50代 の働き盛りの世代に起こる可能性があるのです。それは家族にとっても深刻な問題ですし、 職場にとっても、大きな損失です。

そうした悲劇を防ぐためにも、メタボリックシンドロームのうちに対策を立て、そこか ら先に進むことを予防していかなくてはなりません。ぜひ、メタボリックシンドロームの 人も、まだそうでない人も、予防を実践していただきたいと思います。

では、メタボリックシンドロームはどうすれば予防できるのでしょうか。ここまでの話 でおわかりかと思いますが、メタボリックシンドロームを予防するためには、まず内臓脂 肪を落とすことです。

「そうはいってもやせるのはI朝一タにはいかないよ」と思われるかたも多いかもしれま せん。でも、ここで耳寄りな話をひとつお教えしましょう。それは、「内臓脂肪は比較的 落としやすい」ことです。

メタボリックシンドロームをなくすには、まず健康診断を受けることです。高血糖も高 血圧も高脂血症も、自覚症状はほとんどありません。知らないうちに血管が傷み、深刻な 状況になっていることもあるのです。

健康診断は、成績表ではありません。「要治療」という判を押されなければ大丈夫とい うものではありません。毎日の食生活がどのような検査異常につながっているのか、なぜ 内臓脂肪を減らさなければならないのかを、きちんと説明してもらい、それに納得がいっ て初めてライフスタイルが変わり、内臓脂肪を減らすことができるのです。

なぜ内臓脂肪がたまるのか、それは使うエネルギーより入ってくるエネルギーが多いか らです。

ならば、まず最初に考えられる対策は、入ってくるエネルギーを減らすこと。食べすぎ る習慣をなくすことです。そして、もうひとつは、使うエネルギーをふやすこと。つまり 運動をすることです。単純なようですが、これが基本中の基本です。

では、目安はどのくらいにしたらよいのでしょう。

たとえば、ウェストが1mを超えているからといって、それをI週間で85cm以内にする必 要はありません。3ヵ月から半年で体重とウェストを5%減らすことを目標にします。体 重が100㎏の人なら5㎏。これを半年かけて減らすとすれば、1ヵ月に1kgでいいわけ です。

しかも、内臓脂肪は皮下脂肪にくらべ、生活習慣を改 善したときの効果が出やすい、いいかえれば「減らしやすい」脂肪です。体重を5%減ら したときに、平均して20%の内臓脂肪が減ったというデータもあります。

厚生労働省では、平成20年度からメタボリックシンドロームと判定された人に対する保 健指導を義務化しています。もちろんそれもよいことなのですが、このサイトを読んだ皆さん は、きょうからでもぜひメタボリックシンドローム対策を始めてください。



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